葉物野菜の巨大生産者トップリバーが
ザルビオで狙う
コスト削減と中長期の経営安定化

有限会社トップリバー
営農部 富士見農場 農場長 坂口肇 さん
坂口肇さん

お客様プロフィール

紹介する機能 地力・生育マップ、可変施肥&可変散布マップ
地域 長野県
栽培作物 キャベツ・レタス・サニーレタス・グリーンリーフ・白菜・ロメインレタス・ズッキーニ・かぼちゃ・もろこし・春菊
栽培面積 全体圃場面積50ha(うち、富士見農場のキャベツ延べ栽培面積は13ha)
従業員 100名(うち季節雇用60名)

使用料の手軽さが導入の決め手。使ってみると「それ以上の価値」を実感

ーーザルビオ導入のきっかけと決め手となったポイントは?

キャベツ畑の防除や施肥にドローンの導入を検討していました。ドローンの購入には助成金の利用を考えており、その申請に「ザルビオなどの衛星写真を使った栽培管理支援システムをセットで導入する」という条件があったのです。いろいろ見比べましたが、価格が圧倒的に安かったのが大きな決め手になりましたね。年間使用料が10haで22,000円(税込)と、安価で使えるというのはありがたい。試してみるのはもちろん、継続して利用するのも気軽にできます。

トップリバーでは他の圃場で、類似の衛星写真を使って圃場の分析ができる栽培管理支援システムを自社用にカスタマイズして利用しています。そういう実績があったので、ザルビオを利用することにも抵抗なく、ドローンと組み合せて防除・可変施肥ができる機能に大きな魅力を感じていたこともあり導入はスムーズでした。
営農部 富士見農場 農場長の坂口肇さん

ーートップリバーさまは「スマート農業」を積極的に利用しているイメージがあります。

トップリバーでは3つのビジョンを掲げています。その一つに、「農業界を牽引できる農業者の育成」があります。農業経営者として、地域農業の担い手になれるような人材を育成するということですね。経営者としては、何事も「数字」で捉えられなければなりません。このようなことから、「経営」と「栽培」を数字で捉えられるように研修する文化が根付いています。「数字で捉えること」と「IT技術」の相性が良いので、ITを営農に活かすようにしています。そのため、先ほどお話ししたように、ザルビオ導入前から衛星写真を使った栽培管理支援システムの導入を行っていたのです。

農繁期には従業員が100名を超える大きな農業法人ですが、その目的のひとつに「農業界を盛り上げる」というものがあります。これは私たちが掲げるビジョンから派生した想いです。トップリバーは、農業未経験であっても就農を目指してチャレンジし、安心して独立できる仕組みを持っています。そうやって農業に従事する人を増やせば、農業を成長産業に変えることができると考えています。
キャベツの収穫風景

ーーそのビジョンを実現するために、ザルビオはどのように合致していたのでしょうか。

独立して就農するためには長年かけて身につける経験や勘も大切ですが、全員が時間をかけて独立を目指すわけではありません。早期の独立を実現するためには「過去のデータの活用」「栽培に失敗しない技術」などが必要だと私は考えています。そのひとつがITを活用したスマート農業。過去10年間の衛星写真を分析して地力マップや生育マップを作成し、可変施肥などに役立てられるザルビオは、まさに私たちの考える農業にとてもフィットしたサービスだと感じました。

ドローン×ザルビオで可変施肥を実施。生育マップの正確性に手ごたえ

ーー導入当初はドローンとザルビオをどのように活用される予定でしたか?

生育状況があまり良くないエリアへのドローンを使った可変施肥や防除に役立てたいと思っていました。
トップリバーは、耕作地を購入するということはほとんどありません。圃場のほとんどを地域の地主さん、農家さんから借り入れています。高齢化が進んで離農されたりして、休耕している圃場を借り入れ、トップリバーの耕作地としています。そのため最初の年などは特に、どの場所でどれくらい育つか、その育成具合にばらつきがあるかを把握するのが重要になります。ただ、多くの場合、圃場のこれまでの栽培状況など、履歴情報がほとんどないことが多いのです。同じように日射や水はけに差があり、病気になりやすい場所があるかどうかの情報もないことが多い。

ーーそういった圃場はどのように情報を把握し、活用するのですか?

まずキャベツを栽培します。キャベツはトップリバーのメインの作物であるレタスなどに比べて、栽培が容易だからです。キャベツで地力や圃場内の生育状況を確かめ、その後、レタスに転作したり、そのままキャベツを栽培したり、どう使うかを考えます。
キャベツを栽培している時期は、直接、圃場に出かけて、人の目で生育状況をチェックする必要があります。成長が芳しくなければ、そこに追肥します。病気や虫の予兆があれば、防除します。ピンポイントで、ということが多い。これはかなりの手間。そこにドローンとザルビオを活用したいと思ったのです。

ーー生育マップをまず使ったと伺いました。実際に使ってみていかがでしたか?

正直なところ「どれだけ使えるだろう?」とちょっと疑っていました(笑) でも、実際使ってみると、とても使いやすい、使えるとわかり、一気に信頼度が増しました。

最初にザルビオを試した圃場は、借りて間もない畑でした。半信半疑でまずは「生育マップを見ながら圃場を歩く」ということをしました。確かに、赤く色づいているエリアは生育状況が良好と言えない。そこでドローンで可変施肥をしたところ、一週間経つと当然ですがそのエリアの生育状況が改善。当たり前ですが、そうするとちゃんと生育マップも変化している。「しっかり現状が把握できる!」と感動しましたね。
生育マップ

80%もの作業時間を短縮。効果はそれだけに留まらない!

ーードローンとザルビオを組み合わせて可変施肥をした感想について教えてください。

とにかくラクで、とても効率的!これまで追肥は、圃場を歩き回り、生育状況が良くないエリアをチェックし、そこに合わせて必要な量の肥料を撒くという、非常にアナログなやりかたでした。ザルビオなら、生育マップの色を見ながら見回れるので、チェック作業がとてもラクになりました。慣れてくれば生育マップを見るだけで状況が把握できそうです。また、わかりやすく色分けされているので、散布量の判断も早いですね。

ーー作業時間はどのくらい変わりましたか?

圧倒的に短縮されましたね。これまでは10aに20kg/袋を1袋追肥するとして、サンパーを担いで、15分かかります。ドローンとザルビオを組み合わせた場合は、同じ10aへの追肥は3分で終了しました。比較すると80%も時間が短縮されることになります。
今後、農業は高齢化が進みますから、作業の軽減と時間の短縮はマスト。ドローンとザルビオを使えば、広い圃場から狭小エリアまで、ラクに効率的に、自動で可変施肥が行えます。導入しない手はないな、と思いますね。
可変施肥の様子

ーー可変施肥の効果 として、ほかにどのようなものがあるでしょう。

単純に追肥の作業効率を上げることだけが効果ではないと考えています。収量の向上も見込めます。現状ではキャベツの平均収量が10aあたり約5tですが、可変施肥を適時・適量で実施することができれば、期待値ではありますが1割アップの5.5tは見込めると思います。
また、ザルビオとドローンを組み合わせて可変施肥ができれば、肥料の使用量も適量になります。ほとんどの肥料は海外製品で、社会状況や為替の変動を受けて価格が高騰しています。使う量が適量になれば、そのコストは今より減らせるはず。うちの圃場で地力マップを使って元肥を可変施肥した場合と、均一散布した場合の差を試算してみたのですが、しっかり削減につながることが確認できました。コストを減らして収量をアップできれば、結果、利益は大きくなりますよね。今後実践した際に減肥の効果がどれほど現れるのか、期待が膨らみます。

また、追肥で生育状況が芳しくないエリアの生育を改善し、他のエリアとそろえることができれば、収量がアップするのはもちろんですが、収穫時の選別作業の手間も省けます。この時短・省力も大きいと思います。
目に見える利益を増加させるだけでなく、時間や労力といった目に見えないコストを削減することに貢献してくれるのがザルビオだと思います。

ーー今年の収量はいかがでしたか?

残念ながら、今年は、富士見農場のキャベツ栽培として、雑草対策がうまくいかなかったことがあり、収量アップにはつながりませんでした。「地力マップを活用することで、雑草が繁茂しやすい場所も把握できる」という使い方を教えてもらえたので、来年は雑草駆除と防除にもより役立てたいですね。営農は今後も続きます。単年の成果に一喜一憂することなく、しっかりと改善し、ドローンとザルビオの効果を最大化できるよう来年度以降も試行錯誤していくつもりです。
中長期的な利活用方針を話す坂口さん

農業界を盛り上げる、その想いの実現にザルビオが貢献

ーートップリバーさまでは、ザルビオを今後どのように活用されるでしょう。

トップリバーでは、アナログ的な日誌以外にも、農場長が日々の圃場の様子や生育状況の様子をシステムに入力してデータを残します。データとして残っていますが、そこには農場長など入力者の経験や勘がかなり介在しています。つまり主観的な意見に近いのです。今後はザルビオを使うことで、客観的なデータが蓄積されることになります。そのため「農場長が変わるたびに栽培にバラツキが発生する」といったことが起こりにくくなるでしょう。また、農閑期に行う振り返りや栽培計画立案なども、ザルビオの客観的なデータを参照して行うことができます。属人的な判断が少なくなるので、失敗が少なくなると確信しています。

今後はキャベツ以外の葉物野菜が対象作物になるよう開発が進行中とのこと。ザルビオでトップリバーのスマート農業はより一層、推進されることでしょう。そのおかげで、「農業界を盛り上げる」という私たちの想いが実現できる日も近づくのだと期待しています。