130haまで拡大した農地をザルビオでスマートに管理!J-クレジット「中干し期間の延長」にも手応え

宮城白鳥農場
白鳥 一徳 さん
宮城白鳥農場<br> 白鳥 一徳 さん

お客様プロフィール

紹介する機能 地力マップ、可変施肥マップ、スマート農機連携
地域 宮城県
栽培作物 水稲、大豆
栽培面積 130ha
従業員 5人

周りの農地を受け入れて規模が拡大。品質維持を目指してザルビオに出会う

ーーまずは現在の農地規模を教えてください。

130haの農地を抱えています。父から農場を受け継いだ当初は20haでしたが、後継ぎのいない農家の土地を積極的に受け入れ、現在の耕作面積にまで広がりました。これだけの広さになると、手作業や経験に頼っていた従来の方法では安定した品質を維持し続けることに限界を感じるようになりました。

宮城白鳥農場が有する広大な農地(乾田直播 宮城白鳥農場が有する広大な農地(乾田直播)

ーー広大な農地を管理する上で、具体的にどのような場面で限界を感じてきましたか?

例えば、追肥の方法です。従来の手法では、担当者が田んぼの横から稲の葉色を目視で確認し、その判断に基づいて施肥量を決めていました。

しかし、この方法には限界があります。まず、横からの視点だけでは田んぼ全体の状況を正確に把握することが困難です。さらに、個人の経験や感覚に頼る部分が大きいため、担当者によって判断にばらつきが生じてしまうという悩みがありました。

稲の生育状況を正確に把握し、最適な追肥を行うためには、客観的で一貫性のある新しい手法が必要だと感じていました。

ーー新しい管理方法を模索する中で、ザルビオに出会った経緯を教えてください。

全国規模の稲作経営者会議でザルビオを知りました。地力マップや可変施肥マップなど、多くの機能が農地管理に役立つことがわかり、試しに使い始めることにしました。

ザルビオで進めるスマート農業化。地力マップで追肥の判断が的確に

ザルビオの地力マップで圃場の地力ムラを確認 ザルビオの地力マップで圃場の地力ムラを確認

ーーザルビオを利用し始めて、どのような効果が得られていますか?

長年の課題だった追肥について、今年は手応えを感じられました。ザルビオの地力マップを活用したことで、圃場の地力ムラを色で視覚的に把握できるようになりました。「上から平面で全体が見える」ので、どの区画に多く、どの区画に少なく施肥すべきかを的確に判断できるようになり、満足しています。

さらに来年からは、可変施肥マップと連携可能な田植機とドローンを導入し、スマート農機を使った可変施肥を全面的に取り入れる予定です。これで元肥と追肥の両方で精度が向上すると見込んでいます。最終的には、収量と品質の向上だけでなく、作業負担の軽減や農作業全体の効率化にもつながると期待しています。

ーー農作業の効率化にあたって、ほかにザルビオで役立てられていることはありますか?

従業員全員がデータで裏付けられた同じ情報を持っていることで、作業の無駄が減りました。事務所に大型モニターを導入して、ザルビオの画面を見ながら必要な作業を共有し合うことで、従業員との意思疎通が取りやすくなったほか、チームに一体感も生まれて一石二鳥です。

130haの広大な農地での適期作業を進めていくために、引き続き僕たちの農地に合う使い方を模索していきたいです。

大きなモニターでザルビオを操作する白鳥さん 大きなモニターでザルビオを操作する白鳥さん

「水稲栽培における中干し期間の延長によるJ-クレジットの創出」への手応え

国の地球温暖化対策を推進する取り組みの一環として、宮城白鳥農場は、水稲栽培における中干し期間の延長によりJ-クレジットを創出するプロジェクトに初年度である2023年度から参画している。このプロジェクトを通じて宮城白鳥農場は、中干し期間の延長でメタンガスの排出を抑制すると同時に、J-クレジットの創出を目指している。

ーー中干し期間の延長によるJ-クレジットの創出を目指すプロジェクトに参入した決め手を教えてください。

最初はプロジェクトの内容について半信半疑でしたが、稲作からのクレジット分として年間100万円程度の収入が増えると見込まれたこと、また、地域の気候条件や農業の実情に合うと判断したことで参入を決めました。

しかし不安もありました。特に懸念されたのは、中干し期間の延長が稲の生育に与える影響です。幼穂形成期に水不足が生じ、それによって収量が落ちたり、米の品質が低下したりする可能性を心配していました。

ーー実際、中干し期間の延長に手応えを感じていますか?

実施初年度である今年は、記録的な水不足により中干しが予定より早く始まってしまいましたが、状況を前向きに捉えています。幼穂の生長期であり、水不足は懸念材料ですが、ザルビオで適切な栽培管理ができるので、あとは丁寧な水管理を行えば、プロジェクトと収量・品質の確保を両立できると判断しています。

ーーJ-クレジット申請用の証跡にもザルビオのデータを利用しているそうですね。

ザルビオは、栽培管理の質を高めるだけでなく、J-クレジットの申請に必要な栽培記録の取得や記録の運営管理企業への申請を支援してくれるので、事務作業の負担減につながり助かります。

ザルビオとともに歩む農業の未来への期待

ーー今後、ザルビオに期待することや取り組みたいことはありますか?

さらに多くの機能が追加されることを期待しています。特に、負担の大きい水管理をラクにする機能やリアルタイムでのデータ収集機能が備わると、もっと効率的な農業が可能になりそうです。

現在は現地を見回りしている水管理ですが、地力マップのように上空から水の状態が見える機能があれば、作業の必要性を判断しやすくなると感じています。また、リアルタイムでのデータ収集が進めば、より精密な栽培管理が可能となり、収量や品質の向上に繋がると思います。新しい機能があれば積極的に使い、さらに効率的な農業を目指していきたいです。

広大な圃場を背に語る白鳥さん 広大な圃場を背に語る白鳥さん

ーー最後に、これから農業を始めようとしている方々にメッセージをお願いします。

農業は多岐にわたるスキルを必要とする職業です。そのため、若い世代だけでなく、他の職業で経験を積んだ中高年の方々こそ大いに活躍の場があり、これまでの人生で培った知識や経験が、きっと役立てられると考えています。

また、農家は往々にして孤独な仕事になりがちです。誰かから学ぶ機会が限られているからこそ、自ら積極的に外に出て交流を広げ、ザルビオのような新技術にも好奇心を持って接してみてほしいです。

僕自身も、最後まで胸を張って農業を楽しめると思っています。ぜひ、新しい一歩を踏み出して農業の世界に飛び込んでみてください。きっと充実した一生を過ごせると思いますよ。