お客様プロフィール
紹介する機能 | 地力マップ、生育マップ、可変施肥&可変散布マップ |
地域 | 北海道 |
栽培作物 | 水稲・小麦・蕎麦・切り花 |
栽培面積 | 50ha(水稲40ha、小麦3.5ha、蕎麦5ha、切り花1.5ha) |
従業員 | 5名+家族 |
先祖が開拓した土地で、より愛される米を作りたい
ーー深川市の多度志エリアはどのような土地なのですか?
北海道・北空知地方の中山間にあるまちです。ここは明治の後期に富山県から集団で移住した先祖が開拓した土地で、私で5代目になります。子供の頃は富山から薬売りの方がよく来ていたのをおぼえています。
ーー北空知と言えば、米作りが盛んな印象があります。
確かにこの地域の米は高く評価されていて水稲がメインです。ですが、実はこの地域でも担い手不足による離農が深刻な問題なんです。2000年の時点では農家が172戸もありました。JA合併もありましたが、2023年には61戸まで減っています。遊休農地の発生を回避するために、残った農家で引き取った結果、1戸あたりの農地面積も3倍近くにまで広がりました。
ーー急激な変化ですね…。経営への影響はいかがですか?
まず、働くのが今の人数ではとても対応できません。でも従業員を雇って後継を育てるのは個人経営では限界があると考え、2015年に4戸の農家で農事組合法人を設立することにしました。それが「ユナイテッド」です。先祖が初めての極寒の地で苦労して開拓してくれた努力を無駄にしたくないですからね。
ーー北海道にはおいしいブランド米がたくさんある印象です。
実は北海道米は以前、「やっかい道米」とバカにされていたんですよ。そのイメージが変わったのは新食糧法の改正で産地間競争が激化し、美味しい米でないと需要がない時代が始まったことがきっかけでしょうね。北海道の気候に合う品種改良が進み、「ゆきひかり」「きらら397」などが誕生したことで味もネームバリューも徐々に上がり始めました。ご覧になったことがあると思いますが、CMの効果も大きかったです。「ゆめぴりか」や「ななつぼし」なども好評で、今では関東でも人気のあるブランド米になっています。「良い米を作ろう!」という意識も北海道中に根付いて、各農家や関係する人たちが努力を続けています。
新築の倉庫の前で笑顔で話す中西さん
様々な製品を試した上で、出した結論が「ザルビオ」
ーー良いお米を作るために、「ユナイテッド」でまず行ったのがリモートセンシングだったと聞きました。
扱う農地面積は広がり、労働力はなかなか増やせない。でも米の質を落とすことは絶対にできない。こっちがご飯を食べられなくなっちゃいますからね(笑)。作業効率をアップして、収量や品質を安定させなくては生き残れないな…と。その頃、ドローンを使ったスマート農業が急速に進んでいることに興味をもって、空中から圃場を撮影した画像を活かせないかと考えたのです。結構、チャレンジ精神旺盛なんですよ、自分は。
ーー数あるサービスの中でザルビオを選んだ理由はどこにあったのでしょうか。
ザルビオは色々調べる中で知った選択肢の一つに過ぎませんでした。ドローンは飛ばさないと撮影できません。依頼をしてもその日が強風や降雨では撮影が困難なため適期を逃す事になります。でもザルビオの場合は衛星データを使ったリモートセンシングですから、いつでも気軽に利用できます。色々な会社のシステムを吟味して、私のしたいことに一番マッチしているのがザルビオだったんですよね。
ーーどんな所が一番気に入りましたか?
まず「地力マップ」が利用できること。それまでは経験と感覚でなんとかしていました。ですが、面積拡大に伴って新規で取得したばかりの圃場についての情報はゼロですから、とても助けになりました。私が退職して誰かに引き継ぐことを考えても、過去のデータがあるとないとでは大違いだと思うんです。それを補ってくれたわけです。
地力マップの様子
ーーザルビオを使う前から丁寧に記録を残されているそうですが、それでも足りなかったのでしょうか?
自分の場合、収量・品位・タンパク値データなどを毎年細かく記録し続けているのですが、それも圃場1枚ごとの情報に過ぎません。ザルビオはより細かく圃場1枚の地点ごとに地力を教えてくれる。これは可変施肥に取り組む上で欠かせない情報でした。
可変施肥の効果を実感。更なる情報活用の検討、実施へ
ーー可変施肥にも取り組んだご経験があると伺いましたが。
はい。ザルビオの生育マップをベースに2022年、元肥の可変施肥を試してみました。しかし、期待する結果が得られませんでした。圃場ごとの収量の多少はわかっていましたが、どの部分の地力が強いか弱いかまで把握しきれていなかったんだと実感しましたね。
そして、2023年にちょうど購入することになった田植機がザルビオのデータを活用できるものだったんです。これは狙ったものでなく、本当にたまたま(笑)。「じゃあやってみるか」と地力マップを使ってチャレンジしました。データに合わせて肥料の量を機械が勝手に調整してくれるのでとても簡単でしたね。
田植え後の圃場の様子
ーーザルビオのデータを使って可変施肥を行った結果はいかがでしたか?
収穫してみると、前年とは段違い!可変施肥を行った圃場は均一施肥した圃場と比べて「7%の収量増」という結果になったんですよ。驚いたと同時に感動しました。刈り取り時、コンバインのタンクに入っていく音に重量感があって、それが変わらずずっと続くのに充実感がありましたね。圃場の地点によって出来にムラがないことを実感できました。
ーーそのほかに良かった点はありますか?
可変施肥をした圃場では余計な肥料を散布せずに済みましたし、タンパク質が低く抑えられて、品質の面でも良い効果を得ることができました。私は他社のデータと比較しても大きな違いがなく「ザルビオの地力マップは信頼できる」と確信しましたね。2024年は全面的にザルビオに頼って可変施肥をすることにしています。
ーー今年はまた新たな取り組みを行うと伺いました。
2024年からザルビオの生育予測データを使ってドローンによる基幹防除を行おうと思っています。また、毎年大規模区画整理を計画的に実施していますので、今までのように畦から見るだけでは生育・被害状況はつかみにくいんです。圃場の中心部の様子は空から確認するほうが把握しやすいですから。
ーー異常気象の影響など、生育状況を把握するハードルは今後ますます高くなりそうですね…
昨年の高温にも本当に苦労させられました…。過去の経験値ではどうにもならない異常気象が当たり前になっていて、私だけじゃなく全国の農家が本当に悩んでいると思います。でも気候をいいわけにして、作業の適期を逃すことはできません。私はザルビオを使って機能をフルに使いこなせば、安定して良い米を作れるんじゃないかなと期待しています。
ーーそのほかにどんな場面でザルビオを活用できそうですか?
複数の圃場をまとめて1枚にする区画整理を進めていますが、どうしても表土の移動に伴い、地力データが変動してしまうでしょうから、ザルビオのデータをまた新たに蓄積していくことになりますね。第一は水稲栽培を安定させることなんですけど、小麦の可変追肥についてもできたらいいなと思っています。今後色々な作物の様々な場面でザルビオに頼る場面が増えると考えています。
小麦畑の様子
ーー最後に、今後の抱負を教えてください。
農業では、毎年変動する気象の影響を受けた作物の生育や病害虫・雑草発生を察知し、適期に対処することが求められます。先人から引き継がれた知識や技術を、ザルビオで得た情報と合わせてデジタル化して、後世に繋いで行こうと思っています。そのためにも、新たなチャレンジをして先へ先へと進んでいかなくてはいけませんね。