親方の記憶を、全体が活かせるデータへ。
ザルビオは親元就農での技術継承を進めるベストツール

都築 健太 さん
都築健太さん

お客様プロフィール

紹介する機能 タスクの計画と記録、作業メモ登録、作期レポート
地域 愛知
栽培作物 水稲、小麦、大豆
栽培面積 120ha
従業員 4人

ブロックローテーションで作る米、麦、大豆

ーー就農の背景を教えてください。

農家出身の妻との結婚に際していずれ就農するという条件だったので、約9年前、2人目の子どもが生まれた頃に就農しました。前職は大手CDショップでの販売とイベント企画・運営で、昇進目前の転職で正直惜しい気持ちもありました。

最初の数年は先輩に教えられるままに農作業をしていたんです。しかし、それを繰り返すうちに「点」の作業がつながって「線」になり、自発的に作業の段取りができるようになりました。

ーー結婚の条件としての就農者から、農業の担い手に変わったターニングポイントですね。

それが就農6年目のことで、新人が入って後輩ができたタイミングでもありました。この頃から圃場管理用のデジタルツールで作業記録を採るなど、効率化の取り組みも始めました。

ーー営農規模と栽培作物について伺えますか?

農地は120haで、親方が経営を担い、自分を含む従業員3人が農作業を担当しています。

25haは稲作・畑地固定、それ以外は2年3作のブロックローテーションで米、小麦、大豆を作っています。4月末から5月に田植えをして8〜10月に刈り取り、11月・12月は大豆の収穫と小麦の播種を同時進行するという流れです。
都築さんの圃場

ーーブロックローテーションは区画ごとの輪作で生産性を上げる効果がありますね。

ただし、水稲の後の地面が乾くのを待って麦の播種が遅れるといった問題もあるんです。そのため、稲刈りの後すぐに田んぼが乾いて作業しやすいように、米の約8割は乾田直播にしています。

V直は苗の管理がないのが楽ですが、シビアな水管理が求められます。常に水が通水している訳ではないので夏は田面の乾燥に特に注意が必要です。

どんな品種を栽培していますか?

米はコシヒカリが3割、あいちのかおりが7割です。昨年からは、あいちのかおりより半月早く刈り取れて高温障害に強いあいちのこころという新品種も試しています。

大豆はフクユタカを作っていて、麦は愛知県自慢のきぬあかりとゆめあかり。作物はJAへの全量出荷を基本としています。

異業種から転身して感じた「記録の蓄積」の課題

ーー作業で負担を感じることはありますか?

防除全般を任されていますが、就農1年目から農薬散布にドローンを導入しているので物理的な負担はないですね。省人化のため、1人で運べるサイズの機体を使用中です。この辺りはもともと無人ヘリでの散布も発達していて、ほとんどの農家がドローンに移行しています。

ーー全く異なる分野から転職し、農業にどんな印象を持ちましたか?

各々が試行錯誤しながら作物に向き合う面白さを感じています。

ただ、農業では効率性や合理性より伝統や独自ルールが重んじられてきたのも事実。僕は自分のバックグラウンドを活かし、既存の枠にとらわれない客観性と挑戦心を大事にしたいと思っています。

ーー営農における課題は何だと思いますか?

前職ではターゲット顧客の情報を分析し、アーティストと直接交渉もしながらイベント開催のPDCAサイクルを回し、連携や情報発信の大切さも学びました。

一方、農業では日報もミーティングもなく阿吽の呼吸で動くのが一般的。当初、作業内容や天気、刈り取り適期の目安などをあまり記録しないことを不思議に思いました。

記録が残っていなかったために就農した当時は全体感を把握することも難しく、その時に記録を蓄積しておくことの重要性をひしひしと感じました。

ーー広い農地を管理する上では記録の重要度は高いですね。

データや記録を残すことは、誰でもその作業ができるよう、再現性を持たせることにも繋がります。忙しいと記録が疎かになり、コミュニケーションも減り、伝達しないままシーズンが終わるので作業の記憶も記録も残らないんですよね。

親方の頭の中にある「この田んぼはこの部分が硬い」といった情報も、アウトプットして残す術があればと思いました。
大きな倉庫

ザルビオ導入で実現した「記録の蓄積」で作業効率アップ

ーー就農以来、記録の蓄積に取り組んでいるそうですね。

就農してから始めた10年日誌は、播種や田植え、刈取りのサイクルを理解するために役立ちました。

ザルビオを導入したのは就農5〜6年目の頃。他社のサービスも試した上で、ザルビオが一番シンプルで使いやすかったんです。

親方世代とはデジタルツールへの考え方に違いはあるものの、プラスになることは自由に試させてもらえるので導入に踏み切りました。ザルビオは大きな初期投資もなく、スマホ・PCで始められる点も導入しやすかったです。

ーーどんな用途でザルビオを活用しているのでしょうか。

「Aの圃場に追肥」「コシヒカリを刈取り・出荷」などの記録の蓄積をして、計画作りのベースにしています。圃場で異変があれば写真付きのメモで残せるので、後で振り返りやすいです。

記録内容はJAの生産履歴システムへの入力にも役立てています。

ーー雑草防除の作業自体はどう変わりましたか?

以前は「どこに何の除草剤を撒いたか」を地図に手書きしていて、増え続ける紙を照合しながら1年分の情報を確認していました。

ザルビオには雑草防除の記録が取りやすく、「昨年はタイミングが遅れたから今年は早めよう」といった改善や対策の効率が上がりました。撒いた除草剤の種類とその結果まで記録できるので、翌年の除草剤選びの参考にもなります。

自分で入力したタスクに沿ってPDCAサイクルを回していけるのがいいですね。

ーー実は、都築さんのタスク入力数は全国No.1。入力に手間はありませんか?

仕事の一環なので手間とは感じていないです。圃場は通信環境がよくないので、作業終わりにまとめてその日の作業を入力しています。会社時代の経験もあってパソコンは嫌いじゃないですし、日報と同じような感覚です。
選択できるタスクの例

ーー「ザルビオ導入の効果」をどう評価していますか?

PDCAサイクルを回せるようになったことで作業の無駄が減り、作業時間の短縮という成果が出ました。まずは一歩進んだので、次はコストや収量に照準を合わせていきたいです。

人手不足の解消のためにもザルビオ活用の幅を広げたい

ーー今後はザルビオをどう使っていきたいですか?

農繁期の人手不足の解消のために水管理の記録などにも活用したいですね。雑草や病害を識別するザルビオスカウティングの機能は、ネット環境次第でもっと活用できそうです。

生育ステージ予測は大豆に役立つと思ったのですが、当初は圃場を登録順に見る仕組みに少し不便を感じてなかなかデータを更新していなくて。それを担当者に伝えたところ割り当て機能を開発してもらえたので、今後は使い方が広がりそうです。

現在は施肥は基本的に全量一発ですが可変施肥にも興味がありますね。

ーーザルビオへの改善要望があれば教えてください。

土壌改良資材を撒くことがあるので、撒く前からタスク登録ができたらいいですね。

料金体系でいえば、現状は買った5ha分を稲に充てることはできても、麦や大豆など複数の作物に自由に割り振ることはできない仕組み。割り振りができたらブロックローテーションに使いやすそうです。

Mac上でのマップ操作では、カーソルの過剰反応による拡大・縮小が改善されたらさらに使い勝手が向上すると思います。

ーー都築さんの今後のビジョンを伺えますか?

少しでも農薬を減らして環境に配慮し、楽に仕事ができる環境に変えつつ、地域平均以上の反収を目指したいです。自分が作った米のおいしさを多くの人にも知ってもらって、いつかは自分の造った酒米で日本酒を作ってみたいです。
都築健太さん

ーー就農を考えている人に一言お願いします。

最近はドローンやトラクターの操作が簡単になり、デジタルツールによる効率化も進んでいます。農業大学で学んでいなくても農業ができる時代ですし、生き物を育てるセンスがあれば男女問わず活躍できます。

未経験でもやる気があるならぜひ飛び込んでもらいたいですね。これから農業を始める人には固定概念を捨てて新時代を一緒に切り開いてほしいです。